新井動物病院

創傷治療 1-c

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なぜ乾かしてはいけないのか

では、なぜきずは乾かしてはいけないのでしょうか。それは「きず=創傷がどのようにして治るのか」に関係しています。創傷の治療とは、皮膚が損傷を受けて失われた組織を再生させることであり、その過程において皮膚の構造が重要になってきます。
皮膚は表面から「表皮」「真皮」とい呼ばれる2層の組織に分かれています。この2層はそれぞれ発生の由来が違った組織であり、言い換えると「表皮」が失われた場合、「真皮」から再生することはない、ということを意味します。そこで表皮が再生するにあたり「真皮が残存しているか、していないか」がカギとなるのですが、この「真皮」には毛根毛孔汗腺が含まれています。実は毛根などは表皮の一部であり、表皮の連続した部分が真皮に入り込んでいるという構造を成しています。
「真皮が残存している」ということは、毛根なども残存しているということであり、ここから表皮の細胞が表皮の欠損した部分、つまり創傷に向かって移動してきます。同時に損傷を免れた周囲の健常な皮膚からも表皮細胞が移動してきて、露出した真皮の上をこれらの表皮細胞が覆った状態が再生いわゆる治癒した状態となるのです。
この時、創面(創傷した面)が乾燥していると移動出来ずに死滅してしまいます。細胞が生きていくためには適度な湿潤環境が必要であり、露出している皮膚も乾燥に非常に弱く、乾燥状態が続けば容易に壊死(組織や細胞が死んでしまうこと)してしまいます。
このことから「きずは乾かすと治らない」ということになり、裏返せば「適度な湿潤環境が創傷治療には不可欠」ということにもなるのです。
「真皮が残存していない」場合は、毛根なども残存していませんので、周囲の皮膚から移動してくる表皮細胞が治癒のカギとなります。その表皮細胞を助けるのが「肉芽組織」と呼ばれる組織で、創面を覆うと同時に自身が持つ収縮能力で治癒を働きかけます。しかし、この肉芽組織も乾燥させると壊死してしまう為、創面の乾燥は絶対避けなければいけないのです。

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