新井動物病院

A ペットと獣医療の話題 A-1

Eメール 印刷

狂犬病をめぐる話題~海外での流行と鑑札のデザイン~

9月6日付の朝日新 聞に「増えるペット、広がらぬ狂犬病予防 中国で流行の兆し」という記事が掲載されました。それによると中国で狂犬病流行の兆しが見られ、感染者が96年 以降の10年間で20倍に増えています。経済発展に伴いペットとして犬を飼う家庭が増える一方、予防接種が普及していないことなどが背景にあることが原因 らしいのですが、日本にとっても他人事ではないといえます。
狂犬病はアジアとアフリカを中心に、世界で年間5万人以上の感染者が出ています。日本国内では1957年以来発生はしていませんが、2006年にはフィリ ピンで犬にかまれた患者が帰国後に死亡しています。日本における狂犬病ワクチンの接種率は50%以下に低下しており、海外から狂犬病に感染した動物が侵入 した場合、流行する可能性が指摘されています。
こうした実情を受け、国や自治体で狂犬病ワクチンの接種率向上の対策を講じる必要性を訴える提言がまとめられました(日本学術会議 分科会ホームページ http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/index.html)。
そうしたなか東京都では、狂犬病予防法で飼い犬への装着が義務づけられている「犬鑑札」のデザインを小型にしたり、親しみやすいものに変える動きが23区 で相次いでいます。同法では、生後91日以上の犬の飼い主に、30日以内に市区町村へ登録し、交付を受けた鑑札を犬に装着するよう義務づけています。違反 には20万円以下の罰金も定められていますが、摘発例は少なく、登録率は5割前後と推定され、登録しても鑑札を着けていない犬が多いということです。
今迄の鑑札はデザインが不人気であり、小型犬には大きすぎるという点でも不評でした。そこで厚生労働省が昨年、市区町村が独自デザインを定められるように省令を改正したのです。
千代田、中央、港、新宿、北、台東の6区が今年度から採用したのは、犬をかたどったデザインで、従来と同じステンレス製ですが、これまでより軽くなりまし た。新宿区保健所では「スタートしたばかりだが、これまでほとんどなかった鑑札についての問い合わせがある」と手応えを感じているそうです。
また同じく装着が必要な狂犬病予防注射の注射済み票も、新宿区などが一回り小さくし、台東区はハート形の、より親しみやすい独自デザインを採用。来年度か ら変える世田谷区は、アルミ製で縦横を5ミリ以上小さくする一方、厚さを3ミリと大幅に増やした。さびたり傷が付いたりしても風合いが楽しめるようにし、 さらに注射済み票は金属製からシールタイプに変更。鑑札の裏に張り付けられるため、ぶつかり合うカチャカチャ音も解消されます。
現状では装着率が低く、迷い犬となって処分される犬もあり、阪神大震災では大量の迷い犬が問題化したこともありました。新デザインにより装着率アップが期待されているとのことです。
横浜市も年々接種率が低下の傾向にあるようです。残念ながら、今のところ具体的な対策は耳に入ってきません。単なる話題づくりに終わってしまっては困りま すが、狂犬病予防注射に対する意識の高まりのきっかけになるのであれば、東京都のような方法もありかな、と個人的には思いました。皆さんはいかが思われま すか?

新宿区の鑑札
kansatsu_photo

 

 
side_fig02
You are here: Home ペットと獣医療の話題 狂犬病をめぐる話題~海外での流行と鑑札のデザイン~